簡単な旅装束に、必要最低限の荷物を肩から下げて空を見上げる。
さて、次はどこへ行こう?
少しばかり滞在した場所は、草原を移動する遊牧民の集落だった。
俺みたいな旅人が珍しいのか、いつも子供たちが集ってきては街や海の話をせがんでいた。
その集落も、移動するらしい。
移動の準備で男手が必要なものを手伝ってから、邪魔にならぬよう先にこの地から離れることにした。
「どこに行くかなあ…」
この草原を西に抜けて、海を越えた場所に別の大陸があるらしい。
草原を点々とする遊牧民の人たちは、その大陸のことを詳しくは知らないそうだ。
――まだ、見たこともない場所。
好奇心が首をもたげる。
どうせ、行き先の決まった旅でもない。見たことのないもの、知らない場所に足を伸ばしてみるのも悪くはないだろう。
「ロストグラウンド…か」
なにか、美味いものでもあるだろうか。
…それとも、誰か大切な者が見つかるだろうか?
「それもいいかもしれない」
呟いて、自然と笑みが浮かぶ。

空はどこにでも続いているだろう。
今と変わらぬ澄んだ空に出会えればいい。
見たこともない場所で、なにが見つかるだろう?
背景素材:ECO。     
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